環境プロジェクト
持続を可能にするレシピ: Google のカフェテリアが規格外農産物を使う理由
米国では、食品の生産と流通に国のエネルギー予算の 10%、国土の 50%、新鮮な水の 80% が使用されています。NRDC(Natural Resources Defense Council)の試算によると、米国で栽培、生産された食品のうち、40% が食べられることなく廃棄されています。その大半は、店舗やレストランが、味や栄養価にまったく影響しない外見上の理由によって廃棄または返品した果物や野菜です。
Google 初のエグゼクティブ シェフ、チャーリー エアーズが 53 番目の社員として入社したのが 1999 年。Mountain View 本社で提供される革新的かつ持続可能で健康的な食事は、彼が社員食堂とカフェテリアの責任者を務めていた頃からずっと続いています。今では世界中の 200 以上のカフェテリア、1,000 以上のセルフサービス形式の社員食堂で食事を提供していますが、食品の調達、調理、廃棄に至るすべてのプロセスが、Google の持続可能性目標に沿って細かく管理されています。ラリー ペイジは次のように語っています。「人々が飢えているのは、食べ物が足りないからじゃない。この問題を解決するための仕組みができてないからなんだ。」
Google Food グローバル プログラム マネージャーのクリスティン レイニーは、個人的なミッションとして「食品廃棄物の削減」を掲げています。食品廃棄物を減らせるかどうかは、農産物の廃棄を減らせるかどうかに大きく左右されます。Google が提供する食事には果物や野菜が欠かせませんが、使用する量が多いうえに保存可能期間が短いため、社員食堂から出る廃棄物のかなりの割合を占めているのです。そこで、レイニーが考えたのが「規格外農産物」、つまり見た目や大きさに問題があるために売り物にならないと判断された果物や野菜を活用することでした。
レイニーは、廃棄の可能性がある農産物を売ってくれる業者を探し、規格外農産物の購入を開始しました。それ以降、Google 本社内のカフェテリアで使用した規格外の果物や野菜は 130,000 kg 以上に上ります。規格外農産物を使ってみると、「三方良し」であることがわかりました。Google は食材を安く購入でき、売り手は本来なら廃棄していた農産物を売ることができ、きちんと気を配って調理すれば味や栄養価は変わりません。
このプログラムの 4 つ目の良い点は、その影響が Google の外にも広がっていることです。レイニーは次のように語っています。「規格外農産物を使うという考え方は、Google Food プログラムが考案したわけではありません。すでにレストランなどでは、従業員のまかない用に規格外の野菜を仕入れていたところもあります。私たちが行ったのは、この考え方を広め、取引先の食品会社にもっと仕入れるよう呼びかけたことです。」
レイニーのチームでは、どうしたら Google カフェテリアのスタッフが食品の取り扱いや調理方法を適切に意思決定し、さらに廃棄を減らすことができるかについても研究しました。その結果協力を求めたのが、食品廃棄のデータ計測技術で高い評価を受けていたオレゴン州の LeanPath でした。Google では 2014 年以降、世界各地の 100 のカフェテリアと食堂で、LeanPath の機械化された基準に基づいて調理時の食品廃棄を測定しています。たとえば、前菜として人参のローストを作る場合に、人参を剥いたり切ったりすることによる廃棄量とコストを測定できます。また、調理した食品の量と実際に食べられた量を測定し、後で比較することもできます。LeanPath データに基づいて、調理量のレベルも把握できます。レイニーは次のように語っています。「カフェテリアのあるセクションで作りすぎたことがわかったら、翌週はそのセクションの仕入れを減らすことができるわけです。」
このプログラムは大きな成果をもたらしました。食べ残しを減らして別の用途に再利用するとともに、使用しなかった材料を寄付することで、2015 年には Google 本社のカフェテリアだけで食品廃棄物を 199,825 kg も減らしました。その後、100 以上の Google カフェテリアで LeanPath を使用して改善を続け、プログラムに参加するカフェテリアが増えたことで、2016 年の削減量は現時点で 450,000 kg を超えさらに増え続けています。レイニーのチームでは、サラダバーの容器を浅くする、ランチの終わり頃に客足が鈍ったら重複するセクションを閉めるなど、これまでに学んだ教訓をできるだけ広く適用するようにしています。
しかし、食品廃棄物を最小限に抑えることと、社員が望む料理や軽食をいつでも食べられるようにすることの 2 つの両立にはまだ課題が残っています。レイニーは次のように語っています。「料理によっては営業終了時までになくなってしまうことがあります。でも逆に、料理がいつまでも残っていれば、かなりの量の食品を廃棄することになります。」Google Food サービス チームは、Google の全社的な持続可能性目標に一歩でも近付けるよう、廃棄とサービスの絶妙なバランスを見い出そうとしています。