環境プロジェクト
ヨーロッパ地域に根を下ろし、拡大を続ける Google データセンター
フライトを待つ旅行者が映画をストリーミングしたり、勉強を捗らせるために学生がお気に入りの曲を再生したりできるのは、デバイスがあるおかげだと考える人は多いでしょう。しかし真の主役は、大変な仕事を裏で一手に引き受け、デジタル サービスを途切れることなく提供しているデータセンターなのです。
データセンターには大量のサーバーが設置されており、24 時間体制でデータを保管、提供しています。コンピューティング需要は日々急増し、インターネット利用者は毎月何百万人という単位で増え続けています。
より多くのデータが必要になる、ということは、より多くのデータセンターが必要になるということです。2007 年以降、Google は 32 億ユーロを投じてヨーロッパに 4 つのデータセンターを建設し、運営しています。これらのデータセンターは、経済的投資、雇用拡大、教育機会、地域支援といった効果をヨーロッパ各地の郊外にもたらしてきました。
クラウド需要がもたらす雇用機会
クラウドのデータ ストレージに対する世界的な需要の増大に対応するため、Google はこの 11 年の間に、ハミナ(フィンランド)、サン ギスラン(ベルギー)、ダブリン(アイルランド)、エームスハーヴェン(オランダ)にデータセンターを開設しました。年間約 3 億ユーロが運営費に投じられるこれらのデータセンターは、IT 専門の技術者やエンジニアから、社員食堂や施設管理のスタッフ、警備員、造園スタッフに至るまで、あらゆる分野で雇用を生み出しています。
建設中の雇用創出には急な増減があるものの、Google のヨーロッパ データセンター ネットワークによる援助付き雇用の総合的効果として、2007 年以降、年平均 6,600 件のフルタイムの仕事が生まれており、周辺地域に大きな影響を与えてきました。「Google のサービスに対する需要は日々増大しており、データセンターのインフラも歩調を合わせて拡大しています。その結果、雇用も生み出されるので、地域にも貢献できます。」ベルギーの Google データセンター施設マネージャー、フレデリック デカンはそう語っています。
Google の成長とともにコミュニティも成長
雇用拡大と経済効果というメリットに注目が集まることが多い中で、Google は他の手段でもデータセンター周辺のコミュニティをサポートしています。ここ数年、ハミナ、サン ギスラン、ダブリン、エームスハーヴェンに対しておよそ 300 万ユーロの資金援助を行ってきました。これは主に、教育プログラムやコーディング プログラムなどの活動に対する寄付、地域の大学で地元の技術力育成を目指す共同の取り組みを通じた教育的支援などにあてられています。
ベルギーにある La Maison des Maths はこうした援助先の 1 つで、STEM と呼ばれる科学、技術、工学、数学の教育を推進している学校です。「数学は、大人と同じく子供にとっても重要です。世界はますますデジタル化し、コードを中心に回っているからです。」La Maison des Maths の創設者であるエマニュエル ウダール氏はそう説明します。「この地域にやって来た Google のデータセンターがある種の成果をもたらしていることを知る人はほとんどいないと思います。最初にこの学校とこの STEM カリキュラムを奨励してくれたのも、最初に奨学金を提供してくれたのも Google でした。Google がこの地にデータセンターを開設していなかったら、La Maison des Maths は今ごろ存在していないでしょう。」
他にも、オランダのコーディング プログラムや、アイルランドの若者たちに働くことの心構えを学ぶ場を提供するプログラムを援助したり、データセンターのある環境で働くことを学生たちが直に学ぶことができるフィンランドのミニ データセンターの開設を支援したりしてきました。
再生可能エネルギーへの道を開く
24 時間体制で世界中にデータを提供するには、大量の高性能サーバーに電力を供給し、冷却するためのエネルギーが必要です。そのため、電力の供給源とそれが再生可能エネルギーかどうかは大きな影響を持ちます。
Google のデータセンターは世界でも特にエネルギー効率に優れており、省エネ基準の達成率が高いことで認められています。たとえば最近も、サン ギスランのデータセンターが欧州委員会から表彰されました。データセンター向けの最新の省エネ技術を開発するために 10 年以上を費やしてきた Google は、これまでに、独自の超高効率サーバーを構築したり、データセンターをより効率的に冷却する方法を考案したり、節電効率をさらに上げるため高度な機械学習を導入したりしています。
2017 年、Google は、全社で消費する電力を 100% 再生可能エネルギーで賄うという目標を達成しました。これは、世界各地にある Google のオフィスやデータセンターを運営するための年間消費電力と同じ量(MWh 単位)の再生可能エネルギーを購入していることを意味します。ヨーロッパにおいては、再生可能エネルギーの開発業者と購入者の間で長期にわたり契約する「PPA(電力販売契約)」に署名することにより、再生可能エネルギーの目標を達成しています。これらの契約を締結したことで、Google は世界最大の再生可能エネルギー購入企業となりました。2010 年からは、世界中の再生可能エネルギー プロジェクトに対する約 30 億ユーロの投資(そのうち約 1 億ユーロはヨーロッパでの投資)を可能にした長期の契約を結んでいます。
「新しいデータセンターやオフィスを建設していますし、Google のサービスに対する需要も増大しています。もちろん、使用する電力も増えます」と、Google の技術インフラストラクチャ担当バイス プレジデント、ウルス ヘルツルは言います。「この状況に対応するため、再生可能エネルギーは常にポートフォリオに追加する必要があります。より多くの再生可能エネルギーを購入するために、今後も契約を続けるでしょう。そして、まだ再生可能エネルギーを購入できない地域では、購入できる市場を開設するための取り組みを続けていきます。」
既存市場の拡大と新たな市場開設のための活動に加えて、Google のように長期契約を締結することは、再生可能エネルギー開発業者や資金調達者にとってのリスクを軽減し安定性を確保することにつながります。ヨーロッパが目指す 2020 年と 2030 年の再生可能エネルギー比率の目標達成にも貢献できることでしょう。
さらなる成長を見据えて
Google が初めてヨーロッパに開設した 4 か所のデータセンターは、光ファイバー ネットワークと再生可能エネルギーに支えられています。これらのデータセンターは、2007 年から 2017 年までの 10 年間において、EU の国内総生産のうち 54 億ユーロを占め、ヨーロッパの経済に大きな影響を与えました。そして近い将来、さらに規模を拡大する予定です。データセンター業界全体も、2010 年から現在までに毎年 10% の割合で成長しており、今後 10 年間も同じ成長率で推移することが予想されます。Google では、ベルギーのデータセンターに 2 億 5,000 万ユーロ、アイルランドに 1 億 5,000 万ユーロ、オランダに 5 億ユーロを投じることを最近発表しました。これらの拡大計画により、Google のデータセンターはヨーロッパにいっそう深く定着することになるでしょう。