環境プロジェクト

ニューヨーク北部のごみ処理場から価値を生み出す

2018 年 2 月
背景に緑の谷が広がる中、野外に設置されたポンプ群。

Google は 2007 年に「カーボン ニュートラルな企業になる」という目標を定め、過去 10 年間、毎年この目標を達成してきました。この間、40 件以上のカーボン オフセット プロジェクトと提携し、二酸化炭素換算 1600 万トン(tCO2e)以上をオフセットしました。

Google の長期的なカーボン オフセット プロジェクトのパートナーの 1 つが「オナイダ = ハーキマー固形廃棄物管理局(Oneida-Herkimer Solid Waste Management Authority)」です。この管理局はニューヨーク州北部で最新の埋立地「オナイダ = ハーキマー地域ごみ処理場」を運営しており、合計で人口 30 万人を抱えるこの地域にサービスを提供しています。

Google と管理局のパートナーシップは 2010 年にさかのぼります。当時、Google は管理局の埋立地ガス プロジェクトに早い段階で投資することを決断しました。有機廃棄物が埋立地内で分解するとき、メタンガスが発生しますが、メタンガスは気候変動の大きな要因となります。メタンの温室効果は二酸化炭素の 28 倍で、世界全体の温室効果ガス(GHG)排出量の 16% を占めています1。米国の多くの州では、排出量が一定のしきい値に達していない場合、埋立地はメタンの収集や処理を義務付けられていませんが、自主的にメタンを回収して廃棄することでカーボン オフセットを行えるようにしています。

管理局は、井戸、パイプ、フレアのネットワークを設置して、処理場のメタンガスを収集、廃棄したいと考えていました。カーボン オフセット プロジェクトの開発は、初期投資を促す資金面での刺激策となりました。Google はプロジェクトについて入念に調べた結果、生成されるすべてのカーボン オフセットを購入することを約束しました。この長期的な投資によって、予定よりも 3 年早く、管理局がガス回収システムを建設し、運用開始に必要な財政的な安定性が得られました。それ以来、プロジェクトは二酸化炭素換算 50 万トンを削減し、ガスを適切に処理しながら 50 万以上のカーボン オフセットを生み出しました。

メタンガス廃棄用のフレア(ニューヨーク州のオナイダ = ハーキマー地域ごみ処理場)
メタンガス廃棄用のフレア(ニューヨーク州のオナイダ = ハーキマー地域ごみ処理場)

ガス回収システムが整備されると、管理局はこの資源を完全に活用するためにさらなる一歩を踏み出すことができました。排ガスをただ燃焼させるのではなく、それを電気に転換する設備を発注したのです。この設備では現在、地域の 3,300 軒以上の家庭に電力を供給するのに十分な再生可能エネルギーを生成しています。管理局にとって確実な収入源となり、廃棄物管理のさらなる取り組みに資金を拠出できるようになりました。

カーボン オフセットの販売からの収益によって、管理局は継続的にガス井戸の区域を拡大し、より多くのメタンを収集できるようになりました。また、この資金は、電子機器廃棄物のリサイクル、家庭から出る危険廃棄物の安全な処理など、他の廃棄物管理施策の立ち上げと運営も支えています。最初のガス収集プロジェクトによって生まれた収入源がなければ、このような地域プログラムの追加のコストは、地元の住民や企業が負担しなければならなかったでしょう。

ニューヨーク州のオナイダ = ハーキマー地域ごみ処理場(Google のカーボン オフセット プロジェクトのパートナー)
ニューヨーク州のオナイダ = ハーキマー地域ごみ処理場(Google のカーボン オフセット プロジェクトのパートナー)

このプロジェクトは、Google がカーボン オフセット プログラムを通じて確立した、相互に利益のある多数の長期的パートナーシップの一例にすぎません。地域の空気汚染を緩和し、廃棄物管理を改善し、地元の収入源を増やしながら、Google の二酸化炭素排出量も削減できるため、これらの提携関係は Google と地域社会のどちらにとってもメリットとなっています。

Google のカーボン オフセット プログラムの詳細については、下記のホワイト ペーパー「カーボン ニュートラルの 10 年」(2017 年発行)をご覧ください。

1 二酸化炭素(CO2)を基準として、各気体の 100 年間の世界全体の温室効果を表した地球温暖化係数(GWP)。いずれも最新の『Climate Change 2014: Synthesis Report』(気候変動に関する政府間パネル、2015 年)に基づいています。